この家で暮らしていたご両親が、近所の祖父の家に移ることになり、後を引き継ぐことになったSさんご夫婦。築約30年の住まいは不便な点も多かったことから、新築したばかりの祖父宅を手掛けた当社にリノベーションを依頼されました。希望は「キッチンを広く」「家事の動線を短く」「本やCDをたっぷり収納できるように」等。木を活かした空間に和と洋を調和させた、居心地のいい家が実現しました。(北九州市八幡西区S邸)
普段あまり使われることのなかった和室の続き間は、広々としたリビングダイニングキッチンに変身。杉をメインにウォールナットをアクセントに取り入れ、壁は漆喰、天井には徳島産の手すき和紙を使用。自然素材の心地よさに包まれながら、雰囲気はあくまでもモダンに。造りつけのCDラックは、まるでオブジェのようです。
リノベーション前の玄関は、レンガ調のタイル貼りにサッシ戸でした。位置やサイズはそのままに、オリジナルの木製建具で雰囲気を一新。外壁は黒の金属板でシックに仕上げました。引違い戸の中央には、かつて和室にしつらえられていた欄間を利用。こうして伝統の良さと家族の思い出が引き継がれていきます。
Sさんが「まるでコックピットのよう」と話すキッチンは、シンプルで機能的。料理や片付けがスムーズにできます。しかも床を一段下げることで、ダイニングの椅子に座ったご主人と同じ目線で会話が弾みます。さらにキッチンの裏には、食品の保存棚、洗濯機、アイロン台、室内物干しなどをまとめた家事室を設けています。
玄関から続く廊下にも壁一面に書棚を設けました。限られた空間を有効に使いこなす工夫が随所に盛り込まれています。正面の扉の奥は寝室。右手にキッチン、左手には洗面所や浴室などの水回りを配置し、リビングを通らずにプライベート空間へつながる動線を確保しました。