今の住宅産業では、作業効率やコストパフォーマンスが最優先され、
あらかじめコンピューターに入力したデータによって、機械で木材を加工するプレカット方式を採用する会社が大多数を占めています。
しかし星和住研では、今も変わらず熟練の大工による手きざみを行っています。
高い技術を必要とする手きざみにこだわるのには理由があります。
家づくりにおいて「棟上げ」は、竣工と並んで大きなイベントです。
特に大工にとってはもっとも意気を感じる作業。
その棟上げに使うのは構造材であり、その構造材が自分の手で刻んだものであることは大工の誇りです。職人の意気と腕を最大限に発揮できる家づくりが、「良い家」をつくる最大の条件だと私たちは考えています。
日本の木の美しさ、温もり、香り、そして迫力を存分に感じられる家づくり。
そのためには工場プレカット材を使うのには限界があります。
熟練の大工は材ごとに異なる癖などを見極め、木を選び、刻んでいきます。丸太の梁は1本1本異なります。熟練の大工が化粧梁としてふさわしい強度や美しさを見極めることで、迫力のある空間を築くことができます。
平均的な住宅(約40坪)の場合、墨付け手きざみで1棟仕上げるのに約1.5カ月という時間をかけるのはそのためです。
工場プレカット方式では、加工の方法や種類に限度があります。そのため、木が本来もっている特性を生かせない場合があります。
「本当はこうやって組んだ方が美しいのに」
と思っても、プレカットで不可能な加工であればあきらめなければなりません。
複雑さ、繊細さでは大工の腕にはかないません。手きざみによる施工の自由度の高さが設計の自由度を高め、施主の想いをかたちにした暮らしを豊かにする家づくりを可能にしてくれます。
住宅はすでに「ストックの時代」に入っていると言われます。質の良い新築住宅を少しずつ建てながら、膨大にある既存住宅について、質を向上させるリフォームを進めていく時代が訪れています。
実際には新築よりもリフォームの方が、圧倒的に大工の高い技術が必要です。見た目の美しさだけでなく、耐震性を向上させるなど、リフォームには家づくりの基本を掌握した大工の腕と技、そして「手きざみによる応用力」が求められます。
少し前まで「棟梁」と呼ばれる人はレベルの高い手きざみができるのは当たり前でした。しかし、「工場プレカット」が主流になると手きざみができる大工は消えてゆき、若い大工には修業をする機会さえなくなってしまいます。
だから私たちはまだ間に合ううちに、手きざみの技術を残していこうと考え、「大工育成塾」の受け入れ工務店として技術者を育てています。と同時に、森や木に尊厳を感じ感謝をしてきた日本の文化を引き継ぎ、森林資源を育んでいくためにも、「美しい木の家をつくる」ことにこだわっています。